〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第54篇)
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すき通る緑、
泣いた女の瞼のやうな薄桃色。
一本の、
ひよろ、ひよろとしたねぢり草が
わたしの心に一ぱいになつて光つて居る。
どんなに、わたしの心が、今朝、
美くしい空虚であつたのか、
そして、わたしは満足して居る。
一本の
ひよろ、ひよろとしたねぢり草が
わたしの心へ入つて来たことに、
すき通る緑、
泣いた女の瞼のやうな薄桃色。
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