〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第60篇)

与謝野晶子

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六月の太陽のもとで、 高架線から見る東京。 帆のやうに、幕のやうに、 舞台装置の背景布のやうに、 幾ところからもせり出した 染物屋の物干の 高い大きな布のかたまり。 なんとそれが 堂々と揺れて光ることだ。 日本銀行と三越の 全身不随症の建物が その蔭で尻餅をついてゐる。

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