炉の前
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かたへの壁の炉の火ゆゑ
友の面輪も、肩先も、
後ろの椅子も、手の書も、
濃き桃色にほほゑみぬ。
部屋の四隅の小暗くて、
中に一もと寒牡丹
われと並びて咲くと見る
友の姿のあてやかさ。
春にひとしき炉の火ゆゑ
友も我身も、しばらくは
花の木蔭を行く如く
こゝろごころに思ひ入る。
楽しき由を云はんとし、
伏せし瞳を揚ぐる時
友も俄かに手を解きて
我手の上にさし延べぬ。
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