戦後スタンダード詩を読む(前半)を終えて


講座「戦後スタンダード詩を読む」全6回を9月から11月にかけて開催しました。講師の西原大輔先生の「戦後名詩選3」をテキストに時代を追って、スタンダード作品と呼べる詩作品を鑑賞していきました。
対象とする作品は各回6編。その中から参加者が投票で深掘りする詩を選び、じっくり語り合う形をとりました。参加者、講師、担当者がそれぞれの解釈、感想を対等にすり合わせることで、それぞれの詩の多面性に気づき、新たな読みを獲得する場になったと思います。

この講座の特色は大きく2点挙げられます。
1つめは背景情報を重視したことです。講師は近現代詩を通観できる数少ない研究者であり、どのような時代に作品が書かれたか、作者がどのような人生を送ったか、豊富な情報を提供してくださいました。それらを念頭に読み返すと、言葉に隠された意外な意味が見えてきます。伊東静雄の「夏の終り」、関根弘の「この部屋を出てゆく」に込められた意味には、背景情報なしにはとてもたどり着けなかったでしょう。

2つめは理論の援用です。現代詩の読解において、「作者の死」や脱構築などの理論が有効であることが示されました。難解とされる現代の文学理論・思想についても、講師から簡潔にわかりやすく解説いただけました。

参加者は教育に携わっている人、俳句を作っている人などさまざまで、それぞれの普段の居場所をふまえた発言も講座を豊かなものにしてくれたと感じています。

実は今回の講座ではテキストの前半しか取り上げられていません。来年2月から続編を開催したいと構想しています。
文学の中でも詩に固有のあり方と可能性、決して明るいとはいえない詩の現状をどう打開していくか、も探りたいと思います。

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