小兒

土井晩翠

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くしく妙なるあめつちの 何に譬へむをさなごよ 清き、いみじき、美はしき 汝がこゝろねを面影を。 薫ほるさゆりの花片に おくあけぼのゝ白露か 緑色こき大空に 照るくれなゐの夕づゝか。 霞の裾に波絶て 靜けき春のあさなぎか 雲雀の床と萠えいでゝ 野邊をいろどる若草か。 我世の秋の寄するとき 紅にほふかんばせに 愛の光をかゞやかす なれはのどけき春の日か。 我世のあらしあるゝ時 蕾とまがふ唇に 天女の歌を響かする 汝はそれ生ける音樂か。 人のわびしく老ゆる時 こゝろときめく口づけに 若きいのちを吸はしむる なれは盡きせぬとよみきか。 人の愁にしづむ時 息柔かくあたゝかく 樂土の風を匂はする 汝はとこしへの花の香か。

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