四十男の縊死

福田正夫

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裏の林に、 黑い手の人が下がつてゐた、 顏もまつ黑、頸もまつ黑、 着物も黑い仕事着の汚れたままで、 樹の間からぶらりぶらりとつるさがつてゐる。 見れば悠然たるものながら、 顏は靑味にくすんでゐて、 死のさびしさがあたりをとりまく、 村の人達はよりたかつて、こはごはとみあげなが 『食へなかつただつて········· 『いや氣が違つただなあ···· 』と評定してゐる。 よそ者で永く村にゐるのだが、 ほんとは女房に去られて死んだとやら、 四十面さげて、 枯れた葉の間から顏をさらしてゐるのが、 考へなしに見やうならひげつらの人形だ。 だがいたましい喜劇は、 湧くばかりのかの女房の淚が、 地に大粒にまろび落ちる時だ、 喜劇と悲劇と恐怖と 自分は泣いて笑つて默つて朝の空を見た。

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