墓標(二月)

福士幸次郎

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淺い地蟲の亡き骸に 櫻實が熟れました 味氣ない世に葬禮の柝を叩く 醉うた女房達が柝を叩く 淫れ心の紅眞珠――キスの音 おれは死を戀ひ きやきやと月夜烏の齒が痛む、一と夜明けた醒めごころ 葉陰の水に醉ひ醒めて 刹那刹那の涙を賣る 空耳に鳴る拍子木やキスの音を 晝間の夢に聞き流して 餓ゑる赤兒の泣き聲を 思ひ出しては耳すまし―― 跫音、跫音

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