蒼ざめた馬

萩原朔太郎

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冬の曇天の 凍りついた天氣の下で そんなに憂鬱な自然の中で だまつて道ばたの草を食つてる みじめな しよんぼりした 宿命の 因果の 蒼ざめた馬の影です わたしは影の方へうごいて行き 馬の影はわたしを眺めてゐるやうす。 ああはやく動いてそこを去れ わたしの生涯の映畫幕から すぐに すぐに外りさつてこんな幻像を消してしまへ 私の「意志」を信じたいのだ。馬よ! 因果の 宿命の 定法の みじめなる 絶望の凍りついた風景の乾板から 蒼ざめた影を逃走しろ。

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