動物園にて

萩原朔太郎

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灼きつく如く寂しさ迫り ひとり來りて園内の木立を行けば 枯葉みな地に落ち 猛獸は檻の中に憂ひ眠れり。 彼等みな忍從して 人の投げあたへる肉を食らひ 本能の蒼き瞳孔に 鐵鎖のつながれたる惱みをたへたり。 暗鬱なる日かな! わがこの園内に來れることは 彼等の動物を見るに非ず われは心の檻に閉ぢられたる 飢餓の苦しみを忍び怒れり。 百たびも牙を鳴らして われの欲情するものを噛みつきつつ さびしき復讐を戰ひしかな! いま秋の日は暮れ行かむとし 風は人氣なき小徑に散らばひ吹けど ああ我れは尚鳥の如く 無限の寂寥をも飛ばざるべし。

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