群集の中を求めて歩く(『蝶を夢む』収録)

萩原朔太郎

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

私はいつも都會をもとめる 都會のにぎやかな群集の中に居ることをもとめる。 群集は大きな感情をもつたひとつの浪のやうなものだ どこへでも流れてゆくひとつのさかんな意志と愛慾とのぐるうぷだ。 ああ ものがなしき春のたそがれどき 都會の入り混みたる建築と建築との日影をもとめ 大きな群集の中にもまれて行くのはどんなに樂しいことか みよ この群集のながれてゆくありさまを ひとつの浪はひとつの浪の上にかさなり 浪はかずかぎりなき日影をつくり 日影はゆるぎつつひろがりすすむ 人のひとりひとりにもつ愁ひと悲しみと みなそこの日影に消えてあとかたもない。 ああなんといふやすらかな心で 私はこの道をも歩いてゆくことか。 ああこの大いなる愛と無心のたのしき日影 たのしき浪の彼方につれられてゆく心もちは涙ぐましくなるやうだ。 うらがなしい春の日のたそがれどき このひとびとの群は建築と建築との軒を泳いで どこへどうして流れゆかうとするのか 私のかなしい憂愁をつつんでゐるひとつの大きな地上の日影 ただよふ無心の浪のながれ ああどこまでもどこまでも この群集の浪の中をもまれて行きたい。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

群集の中を求めて歩くの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

群集の中を求めて歩くに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる