涙ぐましい夕暮

萩原朔太郎

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 これらの夕暮は涙ぐましく、私の書齋に訪れてくる。思想は情調の影にぬれて、感じのよい温雅の色合を帶びて見える。ああいかに今の私にまで、一つの惠まれた徳はないか。何物の卑劣にすら、何物の虚僞にすら、あへて高貴の寛容を示し得るやうな、一つの穩やかにして閑雅なる徳はないか。――私をして獨り寂しく、今日の夕暮の室に默思せしめよ。

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