天候と思想

萩原朔太郎

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書生は陰氣な寢臺から 家畜のやうに這ひあがつた 書生は羽織をひつかけ かれの見る自然へ出かけ突進した。 自然は明るく小綺麗でせいせいとして そのうへにも匂ひがあつた 森にも 辻にも 賣店にも どこにも青空がひるがへりて美麗であつた そんな輕快な天氣に 美麗な自働車が 娘等がはしり𢌞つた。 わたくし思ふに 思想はなほ天候のやうなものであるか 書生は書物を日向にして ながく幸福のにほひを嗅いだ。

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