蠅の家族

逸見猶吉

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しやべり散らすな 愛を おもひきり胸には水をそそげ 斧は真冬の面に打ちこまれて其処に窠を張れば陣々と鳴る 岩乗な鉄拐のうしろに廻つて つめたい風が煤を吹きまくる季節中 そいつのために諸々の夢の所在が冱えてくるのだ 冬は はがねの仕組みで むしろ万人の汚辱のなかに厲しく立ち 悔いと怒りに充ちた己こそ千切れなければなるまい 離散する蠅の家族ら 道は道のあるかぎり覆され とほく終駅にえぐられた跨線橋黒だ 己は血ぬれ 移動する雲と樹々と そそがれる水のあふれ…… 冬の窠が鉄拐の一撃にばりり壊されては かすかに青みどりの合唱ながれ 胸のなかひとすぢの憂愁は逆毛だつ たちまち荒々しい光がいり擾れてくるのを 己は身に浴びて目撃する冬だ

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