東京

石川啄木

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

かくやくの夏の日は、今 子午線の上にかかれり。 煙突の鉄の林や、煙皆、煤黒き手に 何をかも攫むとすらむ、ただ直に天をぞ射せる。 百千網巷巷に空車行く音もなく あはれ、今、都大路に、大真夏光動かぬ 寂寞よ、霜夜の如く、百万の心を圧せり。 千万の甍今日こそ色もなく打鎮りぬ。 紙の片白き千ひらを撒きて行く通魔ありと、 家家の門や又窓、黒布に皆とざされぬ。 百千網都大路に人の影暁星の如 いと稀に。――かくて、骨泣く寂滅死の都、見よ。 かくやくの夏の日は、今 子午線の上にかかれり。 何方ゆ流れ来ぬるや、黒星よ、真北の空に 飛ぶを見ぬ。やがて大路の北の涯、天路に聳る 層楼の屋根にとまれり。唖唖として一声、――これよ 凶鳥の不浄の烏。――骨あさる鳥なり、はたや、 死の空にさまよひ叫ぶ怨恨の毒嘴の鳥。 鳥啼きぬ、二度。――いかに、其声の猶終らぬに、 何方ゆ現れ来しや、幾尺の白髪かき垂れ、 いな光る剣捧げし童顔の翁あり。ああ、 黒長裳静かに曳くや、寂寞の戸に反響して、 沓の音全都に響き、唯一人大路を練れり。 有りとある磁石の針は 子午線の真北を射せり。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

東京の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

東京に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる