智慧の相者は我を見て

蒲原有明

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智慧の相者は我を見て今日し語らく、 汝が眉目ぞこは兆惡しく日曇る、 心弱くも人を戀ふおもひの空の 雲、疾風、襲はぬさきに遁れよと。 噫遁れよと、嫋やげる君がほとりを、 緑牧、草野の原のうねりより なほ柔かき黒髮の綰の波を、―― こを如何に君は聞き判きたまふらむ。 眼をし閉れば打續く沙のはてを 黄昏に頸垂れてゆくもののかげ、 飢ゑてさまよふ獸かととがめたまはめ、 その影ぞ君を遁れてゆける身の 乾ける旅に一色の物憂き姿、―― よしさらば、香の渦輪、彩の嵐に。

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