若葉のかげ

蒲原有明

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薄曇りたる空の日や、日も柔らぎぬ、 木犀の若葉の蔭のかけ椅子に 靠れてあれば物なべておぼめきわたれ、 夢のうちの歌の調と暢びらかに。 獨かここに我はしも、ひとりか胸の 浪を趁ふ――常世の島の島が根に 翅やすめむ海の鳥、遠き潮路の 浪枕うつらうつらの我ならむ。 半ひらけるわが心、半閉ぢたる 眼を誘ひ、げに初夏の芍藥の、 薔薇の、罌粟の美し花舞ひてぞ過ぐる、 艶だちてしなゆる色の連彈に たゆらに浮ぶ幻よ――蒸して匂へる 蘂の星、こは戀の花、吉祥の君。

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