可怜小汀
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鴎に寄する歌
何とはなしにはてもなく
昔にかへるわが身かな
おもふはその日旅の空
すでに三歳を過ぎにけり
その日は海の夕まぐれ
わが船浪に漕ぎくれば
鴎つばさは白くして
ひとり汐げの闇をゆく
苦吟あやめもわかぬ時
靈光頭を射るごとく
鴎よはじめ汝を見て
心竊かに驚きぬ
嗚呼塵染めぬ翅かげ
わが身を納れよかくばかり
愁ひはさわぐ激浪の
やみがたくしてすべぞなき
鴎よ行方遠からむ
消え去るかげを惜めども
可怜小汀のいづかたを
汝が戀ふとしも知らざりき
おもひはつきずある夜また
夢に潮の流れ來て
大海とほくかぎりなき
そのはてをしも慕ひけり
可怜小汀か甲斐なくも
問ふはいくたびそもいづこ
八汐路難き沖の上
夢浮舟のすゑ悲し
鴎よかくてはてもなく
昔にかへるしばらくは
白き翅にさそはれて
胸ゆらぐこそあやしけれ
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