蠱の露
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文目もわかぬ夜の室に濃き愁ひもて
釀みにたる酒にしあれば、唇に
そのささやきを日もすがら味ひ知りぬ、
わが君よ、絶間もあらぬ誄辭。
何の痛みか柔かきこの醉にしも
まさらむや、嘆き思ふは何なると
占問ひますな、夢の夢、君がみ苑に
ありもせば、こは蜉蝣のかげのかげ。
見おこせたまへ盞を、げに美はしき
おん眼こそ翅うるめる乙鳥、
透影にして浮び添ひ映り徹りぬ、
いみじさよ、濁れる酒も今はとて
輝き出づれ、うらうへに、靈の欲りする
蠱の露。――いざ諸共に乾してあらなむ。
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