茉莉花

蒲原有明

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咽び嘆かふわが胸の曇り物憂き 紗の帳しなめきかかげ、かがやかに、 或日は映る君が面、媚の野にさく 阿芙蓉の萎え嬌めけるその匂ひ。 魂をも蕩らす私語に誘はれつつも、 われはまた君を擁きて泣くなめり、 極祕の愁、夢のわな、――君が腕に、 痛ましきわがただむきはとらはれぬ。 また或宵は君見えず、生絹の衣の 衣ずれの音のさやさやすずろかに ただ傳ふのみ、わが心この時裂けつ、 茉莉花の夜の一室の香のかげに まじれる君が微笑はわが身の痍を もとめ來て沁みて薫りぬ、貴にしみらに。

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