靈の日の蝕

蒲原有明

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時ぞともなく暗うなる生の扃、―― こはいかに、四方のさまもけすさまじ、 こはまた如何に我胸の罪の泉を 何ものか頸さしのべひた吸ひぬ。 善しと匂へる花瓣は徒に凋みて、 惡しき果は熟えて墜ちたりおのづから わが掌底に、生温きその香をかげば 唇のいや堪ふまじき渇きかな。 聞け、物の音、――飛び過がふ蝗の羽音か、 むらむらと大沼の底を沸きのぼる 毒の水泡の水の面に彈く響か、 あるはまた疫のさやぎ、野の犬の 淫の宮に叫ぶにか、噫、仰ぎ見よ、 微かなる心の星や、靈の日の蝕。

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