靈鳥のうた

蒲原有明

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鑿の手あらば鑿を執り力をこめよ、 絃の音知らば絃を彈けかし。 ああさは問ひそ、    『何處より來しかの鳥』と。 昨日閃電雲を焚き、けふ日は燃ゆれ、 ひとたび來ては巖を去らず。 ああまた説きそ、    『などか飛ばざるかの鳥』と。 鳥の姿はさやかにて、緑の珠の その種子華と發けるに似たり。 あああやしみそ、    『世にめづらしきかの鳥』と。 鳥の瞳は、一日もしあらばその日に 甦り照る人の眼のかげ。 あああやぶみそ、    『何のしるしかかの鳥』と。 獨り友なく大峰に裝ひうかび、 また尾羽飜す朝もあらず。 ああゆびさしそ、    『眠るかかくもかの鳥』と。 鳴音は聽かず何日かまた鳴なむ聲か、 鳥は默してひとりし棲めり。 ああ嘲りそ、    『命絶えしかかの鳥』と。 翅はされど(誰そ言へる)輝きみちて、 一夜まぼろし峰をめぐれり。 ああ疑ひそ、    『夢にも似たるかの鳥』と。 搖ぎを胸に覺えなばゆらぎをつつめ、 ふたたびこの世鳥は歸らじ。 ああかなしみそ、    『何處に消えしかの鳥』と。

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