新譜
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其一
おもふに夢に
おもふに夢に誰かわが
手にふれたりや知らぬまに
空はかすめる夢としも
げに春はこそいふべけれ
知らですごしぬこの日まで
その祕めごとを歡樂を
さあれ知りてはやすからず
ああわが胸のいつになく
おもふに誰かめづらしき
たよりを夢に傳へけむ
かしこよりとしたのむにも
あやなく雲ぞかすみたる
嗚呼さばかりに何ゆゑに
あくがるるわがおもひぞや
微草よなれもゆかしげに
もゆるは何の夢ごこち
おもふに春にいづこより
遠き調の傳ふとも
幽かなるべき絃にだに
うらわかみこそ觸れもすれ
色し慕へどわりなくも
香をし戀ふれどさながらに
されば少女のわがこころ
寤めてかつひに夢みてか
其二
野路よりひとり
野ぢよりひとりかへり來て
あやしくなぞやはづかしき
髮にかざしし草の花
それさへ祕めてえも見せじ
髮にかざしし草の花
色さへ香さへさとらせじ
見せよと人の強ていはば
しづかに胸にひめてまし
靜かにさらば祕めてとか
ああいつはりぬわれながら
春日あまりに樂しくて
かくこそ胸はさわぐなれ
浪だつ胸にたよりつつ
花は眠りてあるならむ
よしや夢みてさめずとも
つらき人にはえも見せじ
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