彩雲
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春うらわかき追憶に
空のこころもかすむ時
雲は流れて古歳の
よろこびにこそかへるなれ
ああその影のいと淡き
光に榮ゆるくろかみの
少女が櫛に匂ふごと
輕げにとくるすがたあり
ああそのかげの靜けさや
たとへば遠き海原に
小島うかびてみゆるごと
愁にさわぐ浪の外
われや野の空うちあふぎ
いつか嘆きを忘れけり
なげきよりこそ人沈め
春の彩ある雲を見よ
さてしも情いと熱き
胸のしろきにくらぶれば
げに觸れがたきたのしみの
夢かよふなり春の雲
あくがれたちてながむれば
乳の江をゆく船に似て
また見かへせばうまざけの
大海にこそ浮びけれ
誰かおもはむこの時し
なかぞら高き紫の
雲ゆふまぐれ消え去りて
幻影つひにたえむとは
榮ある幸よゆくすゑを
おもひわづらふこともなく
雲もながれて古歳の
よろこびにこそかへるなれ
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