其一(『有明集』収録・同題第2篇)

蒲原有明

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泥沙坡とよ、巴比崙よ、花の都に住みぬとも、 よしやまた酌む杯は甘しとて、苦しとて、 絶間あらせず、命の酒うちしたみ、 命の葉もぞ散りゆかむ、一葉一葉に。 朝毎に百千の薔薇は咲きもせめ、 げにや、さもあれ、昨日の薔薇の影いづこ、 初夏月は薔薇をこそ咲かせもすらめ、ヤムシイド、 カイコバアドの尊らのみ命をすら惜しまじを。 逝くものは逝かしめよ、カイコバアドの大尊、 カイコスル彦、何はあれ、 丈夫ツアルもルスツムも誇らば誇れ、 ハチム王宴ひらけよ――そも何ぞ。 畑につづける牧草の野を、いざ共に その野こえ行手沙原、そこにしも、 王は、穢多はの差別なし、―― 金の座に安居したまへマアムウド。 歌の一卷樹のもとに、 美酒の壺、糧の山、さては汝が いつも歌ひてあらばとよその沙原に、 そや、沙原もまたの天國。

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