田舎の理髪店で

木下夕爾

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幼馴染の體は石鹼の匂ひがぷんぷんする 石鹼の匂ひのやうに このわかい男にも もう生活が染みこんでゐるのであらう 鏡に映つてゆれる 木橋と濁つた水と 彼の顏と-(頃のところの小さい疵はあの時の喧嘩のあとだ) 金がなくなつて またかへつて來た男の悲しみを 彼は器用に剃りあげる 昨日 川から腐つてあがつた水死人の話をしながら ああ僕の瞼のうらで 昔のままの木橋がゆれる 濁つた水が流れる- 二十年の歲月が······寂しい怒りのやうに

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