アラビアンナイト物語
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鳴いそな鳴いそ春の鳥。
菱の咲く夏のはじめの水路から
銀が、みどりが………顫へ來て、
本の活字が目に沁みる。
鳴いそな鳴いそ春の鳥。
赤い表紙の手ざはりが
狂氣するほどなつかしく、
けふも寢てゆく舟の上。
鳴いそな鳴いそ春の鳥。
葡萄色した酒ぶくろ、
干しにゆく日の午後に
しんみりと鳴る、櫓の音が………
鳴いそな鳴いそ春の鳥。
ネルのにほひか、酒の香か、
舟はゆくゆく、TONKA JOHN
魔法つかひが金の夢。
註 酒を搾り了れるあとの濕りたる酒の袋を干しにとて、日ごとにわが家の小舟は街の水路を上りて柳河の公園の芝生へとゆく。わが幼時の空想はまたこの小舟の上にて思ふさまその可憐なる翅をばかいひろげたり。
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