竹林の早春
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わが庵の竹の林にこぬか雨今朝も湿れり。春さきのこぬか雨なり。ふるとしも見えぬ雨なり。こぬか雨笹にこもりて、香焼けば香もしめりて、事もなし、ただ明るけし。こまごまと濡れかかるのみ、漂渺と煙曳くのみ。しづかなり、唯安らなり。顔出してつくづく居れば、笹子啼き、目白寄り来る、笹葉揺り揺りて又去る。散りたる去年の枯葉も寂しけど寒しとも無み、何かしら萠ゆる緑の春は早や竹の根にあり。よき湿りかくて湿らば、竹煮草、葛、蕗の薹ややややにすずろき出でむ。髭長の籔の菎蒻、菫など、やがて咲くべし。松風の声は沈めど、常ならぬわびしさならず。裏岨ののぼりくだりに、ほつほつと通る馬さへ時をりは青きつけつつ、声高の人の話も濡れながら行けば親しき。静こころ香をつぎつつ、さて、今日もうら安くこそ。こぬか雨ふるがごとくに、こまごまといつくしみてむ、春さきの我の思を。
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