銀笛

北原白秋

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病弟鐵雄に 思ひ出の夜の空の ほの青き瓦斯の火に、 しみじみと 銀笛の音ぞうれふ。 そこはかと粉雪ふり、 梅の花黄になげく その苑の、 身のいたき衰弱や。 罅うすき硝子戸に 肋膜のわづらひに、 その胸に、 かの沁みる音はほそし。 寫眞屋の燒あとに 鶯の鳴きつかれ、 珈琲店にまた、 薄荷酒の冷えゆけば、 靈の病める手に、 げに一夜、きざまれて、 ひとりまた 音にかつのる、そのなげきよ。

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