北原白秋

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過ぎし日は鍼醫の手凾、 天鵝絨の紫の凾、 柔かに手を觸れて、珍らしく パツチリとひらいた凾、舶來の凾。 銀かな具のつめたさ、 SORI-BATTEN. びらうどのしとやかさ、 そのびらうどに 薄う光る針。 顫える針をつまんで、 GONSHAN の薄い肌を刺すこころ、 やるせない夏の眞晝のその手つき。 つかれと、かなしみと、ものおもひ、 官能の欲………… こころにくいほど落ちついて しんみりと刺す盲人の手。 過ぎし日は鍼醫の手凾。 天鵝絨の紫の凾、 柔かに手を觸れて、なつかしく、 パツチリと閉めた凾、舶來の凾、  註。Sori-batten.   然しながら。方言。阿蘭陀訛?    Gonshan.    良家の娘。柳河語

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