陰影の瞳
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夕となればかの思曇硝子をぬけいでて、
廃れし園のなほ甘きときめきの香に顫へつつ、
はや饐え萎ゆる芙蓉花の腐れの紅きものかげと、
縺れてやまぬ秦皮の陰影にこそひそみしか。
如何に呼べども静まらぬ瞳に絶えず涙して、
帰るともせず、密やかに、はた、果しなく見入りぬる。
そこともわかぬ森かげの鬱憂の薄闇に、
ほのかにのこる噴水の青きひとすぢ……
四十一年十月
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