角を吹け

北原白秋

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わが佳耦よ、いざともに野にいでて 歌はまし、水牛の角を吹け。 視よ、すでに美果実あからみて 田にはまた足穂垂れ、風のまに 山鳩のこゑきこゆ、角を吹け。 いざさらば馬鈴薯の畑を越え 瓜哇びとが園に入り、かの岡に 鐘やみて蝋の火の消ゆるまで 無花果の乳をすすり、ほのぼのと 歌はまし、汝が頸の角を吹け。 わが佳耦よ、鐘きこゆ、野に下りて 葡萄樹の汁滴る邑を過ぎ、 いざさらば、パアテルの黒き袈裟 はや朝の看経はて、しづしづと 見えがくれ棕櫚の葉に消ゆるまで、 無花果の乳をすすり、ほのぼのと 歌はまし、いざともに角を吹け、 わが佳耦よ、起き来れ、野にいでて 歌はまし、水牛の角を吹け。

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