大寺
本文の表示
大寺の庫裏のうしろは、
枇杷あまた黄金たわわに、
六月の天いろ洩るる
路次の隅、竿かけわたし
皮交り、襁褓を乾せり。
そのかげに穢き姿して
面子うち、子らはたはぶれ、
裏店の洗流の日かげ、
顔青き野師の女房ら
首いだし、煙草吸ひつつ、
鈍き目に甍あふぎて、
はてもなう罵りかはす。
凋れたるもののにほひは
溝板の臭気まじりに
蒸し暑く、いづこともなく。
赤黒き肉屋の旗は
屋根越に垂れて動かず。
はや十時、街の沈黙を
しめやかに沈の香しづみ、
しらじらと日は高まりぬ。
三十九年八月
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
大寺の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
大寺に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。
まだ解釈・感想はありません。
ログインすると解釈・感想を書けます。