白藤

北原白秋

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藤のはな軒ににほへり、 日の暮れて白き藤なみ。 松田にもほど近からし、 田舎馬車角吹きにけり。 まかで来し道了薩陀、 紫雲英田もうしろになりぬ。 草の香や、遊ぶ子どもや、 頭がち、跳ぬる足うら。 この柔し、小糠たつ杵、 それすらや、さみし、このごろ。 うらがなし、田螺ころころ、 夜の昴宿しぶく泡だち。 いづれよし、余光の微塵、 脚垂れて蜂もあがれり。 常無しや、為すなしや、ああ、 春はゆく、かかはらず、また。 日の暮れて白き藤なみ、 酒匂川見えそめにけり。

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