鈴の音
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日は赤し、窓の上に恐怖の烏
ひた黙み暮れかかる砂漠を熟視む。
今日もまたもの鈍き駱駝をつらね、
一群のわがやから消えさりゆきぬ。
もの甘き鈴の音、ああそを聴けよ。
からら、からら、ら、ら、ら……
暮れのこるピラミドの暗紅色よ。
そが空のうち濁る重き空気よ。
いづこにか月の色ほのめくごとし。
からら、からら、ら、ら、ら……
かの群よ、靄ふかく、いまかひろぐる
色鈍き、幽鬱の毛織の天幕。
駱駝らのためいきもそこはかとなく。
からら、からら、ら、ら、ら……
もの青く暮れてみな蒸しも見わかね。
饐え温るむ空のをち、薄らあかりに、
ほのかにも此方見るスフィンクスの瞳。
からら、からら、ら、ら、ら……
あはれ、その静かなるスフィンクスの瞳。
ああ暗示……えもわかぬ夢の象徴。
またくいま埃及の夜とやなるらむ。
からら、からら、ら、ら、ら……
烏いまはたはたと遠く飛び去り、
窓にただ色あかき燈火点る。
四十一年八月
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