たはむれ

北原白秋

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菖蒲の花の紫は わが見物のこころかな。 かつは家鴨の尻がろに 水へ滑るは戲けたる 道化芝居の女かな。 軍鷄のにくきは定九郎か、 與一兵衛には何よけむ。 カステラいろの雛らは かの由良さんのとりまきか、 ぴよぴよぴよとよく歌ふ。 禿げた金茶の南瓜は 九太夫どのか、伴内か、 青い蜻蛉の息絶えし おかると名づけ水くれむ。 銀の力彌の肩衣は いちはつぐさか、――雨がへる ぴよいと飛び出た宙がへり、 青い捕手の幕切は ええなんとせう、夜の雨に。

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