太陽

北原白秋

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太陽は祭日の喇叭のごとく、 放たれし手品つかひの鳩のごとく、 或は閃めく藥湯のフラフのごとく、 なつかしきアンチピリンの粉のごとし。 太陽は紅く、また、みどりに、 幼年の手に囘す萬華鏡のなかに光り、 ※物の花にむせび、 薄きレンズを透かしてわが怪しき凾のそこに、 微かなる幻燈のゆめのごとく、また街の射影をうつす。 太陽はまた合歡の木をねむらせ、 やさしきたんぽぽを吹きおくり、 銀のハーモニカに、秋の收穫のにほひに、 或は青き蟾蜍の肌に觸れがたき痛みをちらす。 太陽は枯草のほめきに、玉蜀黍の風味に、 優しき姉のさまして勞れども、 太陽は太陽は 新らしき少年の恐怖にぞ――身と靈との變りゆく秘密にぞ、 あまりにも眩ゆき判官のまなざしをもて ああ、ああ、太陽はかにかくに凝視めつつ脅かす。

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