竹と曼珠沙華
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わが門の竹の林に、曼珠沙華赤く咲きたり。竹の根の一つ一つに、この華や六つ七つづつ、日に増しに数かさみゆく。怪しくも赤き巻髭、髭細の蓮華なす華、咲き盛るその華見れば、おのづから秋も澄みけり、いよいよに風も寂びけり。隣り寺、寺の古墓、日あたりは未だも暑けど、墓掃くとかがむ影すら、阿閼汲むと寄るすらも無し。あなあはれ、摩訶曼珠沙華、出で入るとひとり眺めて、時をりは妻と眺めて、昨日ゆかいよよ殖えしと、まだ今日も赤しとぞ見る。孟宗のしだれ笹ゆゑ、陽は射せどいぶせき籔を常くぐり我は在りけり。わびしけど遊び馴れけり。山住の心安さは籔越しに浪の音聴き、里囃子うれしとも聴け、施餓鬼過ぎ流石さびしく、人訪はぬ今は堪へえね、また出でて竹の根見れば曼珠沙華赤く赤きに、ちらと向き、釣眼野狐、うしろ向き尖り口して、小籔吹き、吹き吹く風に、日の暮に、あな、飛び飛びて消えつつ失せぬ。
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