月から見た地球

北原白秋

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月から観た地球は、円かな、 紫の光であつた、 深いにほひの。 わたしは立つてゐた、海の渚に。 地球こそは夜空に をさなかつた、生れたばかりで。 大きく、のぼつてゐた、地球は。 その肩に空気が燃えた。 雲が別れた。 潮鳴を、わたしは、草木と 火を噴く山の地動を聴いた。 人の呼吸を。 わたしは夢見てゐたのか、 紫のその光を、 わが東に。 いや、すでに知つてゐたのだ。地球人が 早くも神を求めてゐたのを、 また創つてゐたのを。

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