独白
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高祖保よ おとがしてゐる しづかな昏れのおりるおと
高祖保よ この余の不幸はふたたび爾にいでて爾にかへらう
高祖保よ おまへの耳が聴くのは「室内楽」だけだ そとはかいくれ闇
高祖保よ おまへの背ごしに 半円の月が淡すぎる……
高祖保よ 頭の鉢に植ゑるがいい 四季咲きの薔薇一輪その匂ひがおまへの臭みを消す
高祖保よ 伐木丁丁 鳥鳴嚶々 春めいたな
高祖保よ 手をさしのべよ やがて双手は十方無礙の大千世界をさす
高祖保よ とんぼかへりしてみろ 下下の天地へ このとき還るのだ なまなましい荒けづりの樸に
高祖保よ にんげんに傴捬するより ぞつこんおまへの精神に それを!
高祖保よ 擦へよ 揚るべからず 訾つて 謫るべからず矣……
高祖保よ モノクロオムを看るだけの目ならいらぬ あの青黄黼黻の観にあづかるがいい
高祖保よ 窓のそと 枯芝に日かげ 石に心 かぜ凪いだやうす
高祖保よ すきな文句、――汎たるかの栢舟、汎としてそれ流る!
高祖保よ 蟻のかげだね 蟻のかげ
高祖保よ 遠近法がくるつてるんでせう その色盲 さしあたりこまりものだね
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