すでに年が老けて…
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まくらの草子に出る 蓑虫よりは見窄らしい
あの蝦と蜘蛛の混血児みたいなやつさ
もう流しもとの暗闇で
――つづれさせ ころもさせ
おつっけ秋もをはりだと あいつがわたしに告げる
白秋は砂糖のこなが眼に沁むと、歌つた
あの夜ふけの灯の下
ひよっこり 蹇の促織が罷ん出て
――ちりり ちりり
糸のすり切れたヴィオロンをきかせる季だ…
「ヴェルレ※ヌよ
今年の秋も めつきり老けた」と
あの虫が「古詩十九首」のなかでは
月のあたつた荒壁のうらで 鳴く
――さむいほどだ 思つても 気がとほくなる
それが茫々たる なん千年の疇昔のこと
やつぱり詩人に
かうして老けた秋を告げてゐたんだね あいつは…
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