冬と銀河ステーシヨン

宮沢賢治

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そらにはちりのやうに小鳥がとび かげろふや青いギリシヤ文字は せはしく野はらの雪に燃えます パツセン大街道のひのきからは 凍つたしづくが燦々と降り 銀河ステーシヨンの遠方シグナルも けさはまつ赤に澱んでゐます 川はどんどん氷を流してゐるのに みんなは生ゴムの長靴をはき 狐や犬の毛皮を着て 陶器の露店をひやかしたり ぶらさがつた章魚を品さだめしたりする あのにぎやかな土沢の冬の市日です (はんの木とまばゆい雲のアルコホル  あすこにやどりぎの黄金のゴールが  さめざめとしてひかつてもいい) あゝ Josef Pasternack の指揮する この冬の銀河軽便鉄道は 幾重のあえかな氷をくぐり (でんしんばしらの赤い碍子と松の森) にせものの金のメタルをぶらさげて 茶いろの瞳をりんと張り つめたく青らむ天椀の下 うららかな雪の台地を急ぐもの (窓のガラスの氷の羊歯は  だんだん白い湯気にかはる) パツセン大街道のひのきから しづくは燃えていちめんに降り はねあがる青い枝や 紅玉やトパースまたいろいろのスペクトルや もうまるで市場のやうな盛んな取引です (一九二三、一二、一〇)

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