〔西のあをじろがらん洞〕

宮沢賢治

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西のあをじろがらん洞、    一むらゆげをはきだせば、 ゆげはひろがり環をつくり、  雪のお山を越し申す。 わさび田ここになさんとて、  枯草原にこしおろし、 たばこを吸へばこの泉、    たゞごろごろと鳴り申す。 それわさび田に害あるもの、  一には野馬 二には蟹、 三には視察、四には税、    五は大更の酒屋なり。 山を越したる雲かげは、    雪をそゞろにすべりおり、 やがては藍の松こめや、    虎の斑形を越え申す。

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