穂孕期
本文の表示
一九二八、七、二四、
蜂蜜いろの夕陽のなかを
みんな渇いて
稲田のなかの萱の島、
観音堂へ漂ひ着いた
いちにちの行程は
ただまっ青な稲の中
眼路をかぎりの
その水いろの葉筒の底で
けむりのやうな一ミリの羽
淡い稲穂の原体が
いまこっそりと形成され
この幾月の心労は
ぼうぼう東の山地に消える
青く澱んだ夕陽のなかで
麻シャツの胸をはだけてしゃがんだり
帽子をぬいで小さな石に腰かけたり
みんな顔中稲で傷だらけにして
芬って酸っぱいあんずをたべる
みんなのことばはきれぎれで
知らない国の原語のやう
ぼうとまなこをめぐらせば、
青い寒天のやうにもさやぎ
むしろ液体のやうにもけむって
この堂をめぐる萱むらである
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
穂孕期の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
穂孕期に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。