秋夜弄筆
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日かず経て呼子鳥啼かずなりしを、それかともききあやしみて外のもに出づれば、音に澄みて鳴けるは遠き蟋蟀なりけり。柿の実したたかに石に落ち、空を仰ぐに風早く雲飛んで月もまた飛ぶこと早し。野に蕭殺の兆ありて客心を痛ましめ、夜頃を宿のほとりに、我は秋蚕の匂ひあるなかをさまよひぬ。また室に帰りて怠りて弓臥するに、時はなほ衣手のうすきを喞つに早けれども――。
ひときはは凩ちかきひぢ枕
また時ありて山雨のわづかにたばしり去るを前庭のひろきに知りぬ。
楠天の葉うらも白き月夜かな
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