雉(『測量船』収録)
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安西冬衛君に
山腹に朴の幹が白い。萱原に鴉の群が下りてゐる。鴉が私を見た。私は遠い山の、電柱の列が細く越えてゐるのを眺めた。私は山襞に隠れていつた。
道は川に沿ひ、翳り易い日向に、鶺鴒が淡い黄色を流して飛ぶ。
枯葉に音をたてる赤楝蛇の、その心ままなる行衛。
夕暮に私は雉を買つた。夜になつて、川を眺める窓を閉ざした。私は酒を酌んだ。水の音が窓から遠ざかつていつた。
食膳の朱塗りの上に、私は一粒の散弾を落した。
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