村(『測量船』収録・同題第1篇)
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鹿は角に麻縄をしばられて、暗い物置小屋にいれられてゐた。何も見えないところで、その青い眼はすみ、きちんと風雅に坐つてゐた。芋が一つころがつてゐた。
そとでは桜の花が散り、山の方から、ひとすぢそれを自転車がしいていつた。
脊中を見せて、少女は藪を眺めてゐた。羽織の肩に、黒いリボンをとめて。
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