山峽口占
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晩霞散じつくし
ほの黄なる燈火點ず
かの山もとに錯落とおける藁屋根
あまさかる鄙のほそ路
ほとほとにきはまるなべに
よりあひていく世をか經し
あやしげのくさびらめける
そのかずもともしふる屋根
そをめぐりけぶる竹藪――
風落ち
蟲のこゑしじにおこりて
山なべて黝みをはりぬ
寂寞とひと日暮れゆく
あはれそのかの山もとゆ
なほひとたび
やがてふたたび
のびらかに牛のこゑ谺しよばふ
世のほかのかかる人の世
いまははや闇にとざして
燈火のひとつ殘りぬ
をりからや客舍の窓に
われひとり襟をつくろひ
萬象のかくもひそかに蕭然たる
情感のふかきに已に堪へざらんとす
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