枇杷の實
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ある人に
枇杷の實が熟つたから
お子さんをつれて採りにいらつしやいと言つたら
その人は子供を五人ばかりつれて
日曜の朝
一つも殘らず採つて行つてしまつた
實際一つものこさず
きれいに木を裸に剥いてしまつて
微笑ひながら歸つて行つた
わたしの家のものは
まだその枇杷の實を一つもたべてゐない
みんな樂しみに熟れるのを待つてゐたのに
私のお世辭が木を裸にしてしまつた
五升ばかりあつたのを
その人はバスケツトに入れて持つて行つたのだ
すこしは私の家にも置いて行くだらうと思つてゐたのに
あとで
私のうちのものが集まつて
さびしさうに枇杷の木を見あげた
いくらなんでも
あんまりひどい人だと
みんな口口に言ひあつた。
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