春の午後

室生犀星

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朝の湯からあがつて 小鳥の籠の手入れをすまして 靜かにたばこをふかしてゐると その青さが深くなつてみえる 小鳥は濡れた羽がきをやつてゐる 日のなかで 嬉しさうに水浴びをしてゐる 霧が立つごとに虹が立つ わたしはうつとりしてそれを眺める 遠くからしてくるものは豆腐屋のラツパ 汽笛の聲 どこかで井戸をあげる音くらゐである 心はのんびりと小鳥をながめてゐる 誰も訪ねてこない川端の奧の さくらにまだ間のある春の午後である

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