柿
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柿がまた一つぽたりと落ちた
楽しみにしてゐたのが毎朝かうやつて
をしげもなく時には二つも三つも落ちる
しまひには一つ残さずに
みんなくされて落ちてしまふかも分らない
さうなると楽しみはなくなる
晩など枕もとにひびいて
陰気な音を立てて落ちる。
また落ちましたね
あんなに落ちてしまつて
どれだけも枝に残りませんね
さう女も気にかけて言ふのだ
だがああして毎日落ちるものを
切角のものだがどうにもならない。
柿といふものは妙に重い頭のやうな
ぽたりと音を立てておちるものだ。
見たまへあんなに累累としてゐた星族が
もういまでは頂の方に三つ四つしかない
せつかくのものを
あんなに女らが実つて照るのを待つたものを!
しかし柿自身だつてどうにもならないらしい
ましておれなぞそばへ寄つて惜んでも
さてそれもどうにもならないことだ。
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